恋する剣士
昴から、医術を学んでいたから
傷を押さえ、止血を試みる


「ずっと… こうして逃げたかった…」


「え?」


「俺は、逃げようと言ったのに…」


「昴?」


「お前は、一緒に逃げようと言わなかった」


「昴が困ると…」


「嬉しかったよ
お前が… 俺に ずっと… そばにいてくれと
俺も… そうしたかった」


昴が力強く、抱きしめてきた…



「あかる」



昴の胸にくっついていた耳に
心臓の音が届かなくなった



「昴…」



幼児のように泣きじゃくった



「昴!!昴!!昴!!!」



誰かが、わたくしと昴を引き離そうとした





お願い





わたくしから、昴を取り上げないで…








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