恋する剣士
その夜





明は、城を抜けた



人目につかないよう、屋根上を渡り走る


降り立ったのは、灯りの消えた新選組屯所であった屋敷

いるはずの人がひとりもいない


ペタンと座り込む






追ってくる昴も頼る人もいない


トボトボと城に戻り
寝間着に着替え、部屋の前の廊下に座る





「はぁ~面倒くさい」


考える事も辞め、暗い庭を時折顔を出す月明かりで見る



「またそのようなところに…」



火鉢を持った男と慶喜が呆れ顔



「部屋に置いて、火をつけてくれ」

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