恋する剣士
男が眉をひそめた後
布団をずらし、壁際へ



「慶喜様、手拭いと盥など用意して参ります」



慶喜が布団の上に明と座る

「横になれ」

「なんで?」

返答に困りつつ


「熱があるのだ」

「ああ」


なるほどと明が納得して見せたが
横になろうとしない


「眠れないんです
目を閉じると昴との日々が思い出されて…」


「アキラ…」


「…っぷふっ あ、すみません」


久しぶりに明が表情を崩し笑った


「何が可笑しい?」

「わたくしの名も知らない慶喜様に嫁ぐんだなだと
今頃気がついたもので」

「!!! アキラではないのか!?」

「ええ
自分で名乗ったことはないので
名前なんてどうでも良いのですけど」



ーーー新八君は、なんで知ってたんだろう…


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