壊れるほどに愛して。
「紫苑ー! 瑛太が 私の卵焼きとったぁ」




「いーじゃん、葵ママの卵焼き絶品だし。愛情に飢えてる瑛太に分けてあげな」




「あははっ! 愛情に飢えてるなら しょーがないでちゅねー」



「葵、お前ふざけんなよ! 紫苑も変なこと言うなっ」




昼休み。

あたしと春騎の机を向かい合わせにして 葵と瑛太も含めた4人でお弁当を広げる。




専業主婦の葵ママが作った葵のお弁当は、いつもに増して美味しそうに見える。




春騎は、売店のクリームパンとチーズケーキ、そしてココア。相変わらずの甘党で、そのギャップに笑いそうになる。


瑛太は 可愛がってる妹の 里佳(りか)ちゃんに彼氏ができて お弁当を作ってもらえなくなった ため、カレーパンを頬張りながら 毎日葵に餌付けされている。




あたしはと言うと、夕飯の残りを詰めたシンプルなお弁当に チョコミント豆乳。




葵のお弁当が 羨ましくて 泣きたくなる。









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