あげます、ココロ以外。
「そういえば先輩、いいんですか?ストーカーの件は」

「お前さぁ、その呼び方変えろ。」

この人は、とことん人の話を聞かないな!

「・・・先輩って呼ばれるの嫌いなんですか?」

ため息混じりで言うと、先輩もため息で返してきた。しかも、長めに。

「はあーーっ、敬語もやめろ。」
「何でですか?年上だから当たり前でしょ?」

普通の対応だと思うんだけど・・・と、首を傾げる。

「年上だからっていうのもいいから。居心地悪ぃし、それに店の中で先輩呼びとか不自然だろ?」

まあ、確かにそれもそうか・・・。でもな・・・。

「何て呼べばいいですか?」

「け・い・ご!」

「・・・・・・何て呼べばいい?」

面倒臭いことに巻き込まれたくないとは言ったけど、この人自体が色々と面倒臭かった。

「俺の下の名前分かるか?」

「響・・・?」

何か恥ずかしいな、異性の下の名前を言うのは。

「それで。」

満足そうにふっと口角を上げた。

まただ、この人の・・・響の笑顔。
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