あげます、ココロ以外。
「後ろをついて来たら、捕まえるんだけどな」

「・・・っ急に来ないで、ビックリした!」

上半身だけを別のTシャツに着替えた響が私の背後に立った。

というか、今何て言った?

「尾行されたら、捕まえるの?」
「今までがそうだったしな。」
「・・・ガシッと?」
「ガシッと。」

当然だろ?と顔で返されても、私にはそんな経験がないから分からないよ。

慣れすぎでは・・・?夜道に電柱の影から覗いてる感じかな・・・。

女の私がこんなことになったら、こういうふうにはならないだろうな・・・。

そう考えると、寒気がした。

「来栖さんー、この映像どうします?自分で管理しますか?」

充の手には、監視カメラのあの映像が入っているだろうUSBが握られている。

「ああ、借りるぞ」

USBを受け取ると、ズボンのポケットに深く入れ込んだ。

「蜜」

「え?!ああ、何?」

「帰るぞ。送るから」

チャリンッと、音を鳴らして何かの鍵を目の前に見せてきた。

「ど、どうも。」

何の鍵だろう?
不思議に思いながら外へと出口に進んだ。
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