あげます、ココロ以外。
扉を開ける音とともに、名前を呼ぶ声が私の体を引き寄せる。


他人の声を聞いて、これほど安心したことはない。


「これ忘れ物。」

「え?あ、ありがとう・・・!」


後ろにいたのは、走ったのか、少し息を切らした響。


片手に私の携帯を持って、右手に握らせてくれる。その手に心臓がうるさく音をたてる。

緊張してたのかな・・・?


「・・・っていうか、何でここ空気が重いの?」

私以外の生徒がいるからか、いつもよりわざとらしく優しい口調で話している。

「あぁ、これは・・・」
「先輩!安藤さんと本当に付き合ってないんですか?!」

間髪入れずに私と喋っていた声よりトーンを上げたあの女子が質問をする。


女って、怖いっ・・・!
私も女だけどさ。
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