あげます、ココロ以外。
「安藤さーん!副生徒会長が呼んでるよー!」
「「「「え?」」」」
そんなクラス委員長の声に教室にいたクラスメイトと廊下に居合わせた生徒全員が私たちに振り返った。

クラス委員長・・・うん。伝えてくれたのは、ありがとう。でもさー!声の音量が〜!

心の中で悶える私のことなどお構いなしに周囲の視線が突き刺さる。

昨日とは比べ物にならない清々しい姿の先輩が周囲の視線を無視し、こっちに視線を移した。

「あ、安藤さん。文化祭委員だよね?先生が相談あるらしいから、ちょっと来て!」
あ、この人二重人格だ!
「は、はい・・・。」

手招きをしながら私を先生との相談に誘うその目が死の道への誘いだとは露知らず、同級生たちは私を見送った。

告白を期待していたような目の人たちは教室から出ていく私たちから興味を無くして自分の会話に意識を戻した。
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