あげます、ココロ以外。
驚きを隠せず、ゆっくりと先輩の顔を見上げた。威嚇するような視線は変わらないものの、いたって普通の真剣な顔が私を見下ろしていた。

「えっと?」
「だからー!『泊まる場所』って何?」
「は、い?」
「・・・・・・」

返答にしびれを切らしたのか挙句の果てに私の腕を掴んで壁に押し当て、距離を狭めてきた。

「舐めてんの?」

「違います!違います!想像してた展開と全然違ったもので!!」

必死に首を横に振りながら否定の言葉を言った。

「・・・何されるって想像した?」

またもや想像していなかった質問に混乱しながら目を泳がせた。

「て、てっきり・・・脅されて、こ、殺されるのではないか、と・・・。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・ふっ・・・ククッ・・・ははは!」

「え?」

「ははははははっ・・・!」

「?!」

今までの行動からは打って変わって、軽快な笑いが生徒会室に響いた。

「せ、先輩?!」
「あはははははは!何だそれ、被害妄想にも程があるだろ?!」

私から手と体を離して後ろによろめきながらお腹を抱える姿に、あの目付きの姿はすでにどこかへ消えていた。

「あーっ、苦しいっ・・・!悪かった、お前じゃないな」

「・・・何が?」

意味の分からない言葉に質問するも何も返ってこない。

私の言葉がツボにどハマりした先輩は力尽きたように床にペタンっと腰を下ろして、どこかスッキリしたような目で私を見上げた。

空気を吸い込んで自分を落ち着かせて。


「俺のストーカー」


「はい?!」

今日は私から拍子抜けした声が出た。
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