嫌いの反対




バチっと目を覚ましたのはそれから2時間経ったとき。


ここどこ?とはならなくて、お決まりのツンとした薬の匂いとクリーム色の仕切りのおかげでここは保健室なんだ、ってすぐに分かった。



「うわっ…」



至る所にぐるぐる巻きにしてある包帯が目に入る。



多分…いや、絶対波留多だ。




「大袈裟なんじゃ…」

「咲良!?!?!?」




シャッと仕切りを誰かに勢いよく開けられたかと思うと、そのまま勢いよく抱きしめられる。



…ああ、もうこの人は。




「心配、したんだからなっ…」

「波留多、大袈裟だよ」





震える声。キツく抱きしめる腕。


この人は本気で総長なんだろうか?

目の前にいる彼は弱々しくて、健気で可愛いと思うんだけど。




< 121 / 252 >

この作品をシェア

pagetop