嫌いの反対
隆琦には、大好きな彼女さんがいたらしい。
彼女さんはとても可愛げのある子らしく、美人で、人気が絶えない、いわば欠点のない人だった。
隆琦と付き合ってからは『あいつには敵わないな〜』とか『あいつなら』っていって男の子たちは身を引いてくれたらしいけど。
隆琦を狙っている女の子たちはそうはいかないらしく、告白も絶えなかった。
「隆琦、好き?」
「うん、好きだよ」
「ふふ、私も」
そんな会話が日常的に成立する。
止まらない告白。増えていく想い合いの確認。
そんなに信用ないかと隆琦は彼女に聞いたらしい。
「ううん、違うの。」
彼女はそう首を横に振るだけ。