嫌いの反対
少し離れた誰もいない路地裏でその話は始まった。
「気づいてるんでしょう」
私がそう言い放つと了雅は瞼をゆっくり開ける。
「ああ」
「なんで弁解しないの」
「ゆっくりだけど聞いてくれるか」
了雅の長い話はそこから始まった。
「俺はお前が好きだった。
お前を姫にして、大好きな奴らと好きな女を守れるなんて、贅沢だなって思った。
友梨が現れて、こいつはなんて自分の思っていることを隠すのがうまいんだろうって思った。」
途切れ途切れ話す声に嘘はないんだと思わされる。