嫌いの反対
波留多のことを考えている自分がいた。
悲しい、寂しい、会いたい。
その言葉たちが脳を支配する。この感情のゴールが見えない。
「起きたのか」
考え事を遮るように顔を覗かせたのは珍しく兄で。
切れ長の目と、通った鼻、薄い唇は幼いころよりずっとかっこよくなっているのが分かった。
…ただ、性格は別だ。
「これは何のつもりなの?早く解いて」
「嫌だね。咲良には俺の玩具になってもらうんだ」
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