嫌いの反対


何もかも見透かすようなその目に、私は初めて感情を露わにする。



「波留多の電話…今何時」

「朝の9時。朝から抱くなんて俺どんだけ溜まってんだろうな~」


ケラケラ笑っているけれど、その瞳には笑いなんて言葉は存在しない。

それよりも。だいぶまずい。
荷物を取りに行ったはずなのに波留多の家にいないと、今頃星龍では大騒ぎだろう。


波留多と隆騎は血相を変えているに違いない。


…こわいんだけど。


そう余裕でいられるのもつかの間、目の前の兄が本格的にベッドへ沈んだ。

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