嫌いの反対
でも、スポーツに関しては何を持たせてもできた。
親はサッカーも野球もテニスもバスケットボールも、嫌味のようにやらせてきたけど僕にとってそれは快感でしかなかったんだよね。
〜眉を垂らせて遠くを見る勇太をみてただ切ないという感情に支配される。
「父親は大手企業の社長さんだった。
敢えて名前は言わないけど。母親はそこの秘書。だからスポーツが出来る僕より成績優秀な兄さんを慕った。でも、それでも僕にも愛をくれてたんだよ」
そこまで言うと勇太はすぐに目線を鋭く変える。
『勉強が出来る子がモテ始めるのは少ししてからだ』
父親のその言葉を呑み込むのにそう時間はかからなかったらしい。