嫌いの反対



「何なんだよ!せっかく人がわざわざ和解しようと思ってたのによ!」

「和解?」



その言葉にピクリと反応したのは意外にも零で。




「人質を取って和解っていう響きは初めてだね?」



と指の関節をポキポキ鳴らす。





「俺らの勇太と俺らの咲良だ。どっちもお前らにはやらねえよ」



それは波留多の一言でまとめられて。






「じゃあ決着の日はどうなっても知らねえからな」

「言っとけ」

「俺は忠告したぞ」







いつのまにか短気な性格になっていた成海はそう言い放ち背中を向ける。後宇多はまだ言いたいことがあるのかそのまま突っ立っていて。けれど




「俺らがここに来た意味、考えてみてよ」




そう歯を食いしばって、なにかを堪えるような顔をして、悔しそうな、強気のような、どちらとも取れない顔をして。その場を去っていった。






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