嫌いの反対
動じてないのは波瑠多と私と友梨ぐらい。
「棗 勇太、お前はこっちにくる気が…ないみたいだね?」
目をチラつかせながらそういう後宇多は気難しそうに眉を顰める。
「私の抗争なのに勇太が関係してくる理由が分からない」
私がきっぱり答えると前の私からは想像もつかないのか、目を見開く黄竜。
「こうやって私が勇太を庇ってるのが信じられないの?…そんな私が友梨をいじめたっていう話は信じたくせに?」
私が嘲笑うように彼らを見ればバツが悪そうに目をそらす。
「チャンスはいらねえって事だ、それでなんだ。決着っつーのは」
波瑠多がそう言うと友梨が大声で笑いだす。
アハハハハハハハハハハハハハ…と狂ったように笑い出す彼女を見て波瑠多でさえたじろぐ。
そんな彼女を私は真顔で見つめた。