嫌いの反対
「はぁ、面白いわ」
カチャ、と銃を引き抜く友梨。
私の後ろからやっぱり、と言うつぶやき声が聞こえた気がした。
「私は小金井友梨、弟の名前は春島那月(はるしま なつき)…これでわかる?」
「ああ、お前春島組の娘なのか」
落ち着きを払った波瑠多の声に眉をピクッと動かした友梨。
「なんでその子が守られなきゃいけないのか分からないのよ。教えてくれない?」
「少なくともお前よりは価値のある人間だって言う事だ」
「っ!?」
パァンッッッッ
銃声が鳴ったと思えば友梨は銃を上に向けて発砲していた。
「次はないわ」
「あんたはどっかのおとぎ話の魔女かなんかか?」
勇太の声にジロリとそちらを向く友梨。