嫌いの反対
何回か鈍い音が響く。
それはドスッとか
バキッとか、そういう類の音で。
何回かカハッという吐く声も。
私は俯いて目をギュッと閉じている。
気づいたら1番最初に立ち向かっていったはずの祐亮と…成海と昴は倒れていた。
急に怖くなって波瑠多の袖を掴む。
…何でこんなにも私のことで犠牲者を出さないといけないのだろうか。
「おい」
不意に了雅の声が聞こえてそちらへ向く。
「楽しいか」
「っ!?」
ドスの効いた声を初めて聞くから、私は肩を跳ねさせた。聞かれた張本人の友梨は目を見開いている。
「楽しくないわよ」
「そうか」
了雅はパチンと手を叩くと、もう一度おいと声をかけた。
「ってえなぁ〜」
「んなんだよこのガキ」
「たまらねえなおい」
と立ち上がってく黄竜の3人。
「演技だったの!?!?!?」
私がそう声を荒げるとフンとでも言うような…でもそれはそっぽを向く方じゃなくて自慢げに鼻を鳴らすような。
「悪かったな元姫」
祐亮はそう言うともう一度友梨に立ち向かっていこうとする。
少し離れたところで勇太が目を見開いているのがわかった。