嫌いの反対
…正直、とても心臓に悪い。
「まあいいだろ、黄竜」
波瑠多は心地よい低い声でそういうと私の首に腕を回す。
「え、あの、波瑠多サン?」
「あ?」
「ここは人前ですが」
…とても心臓に悪い。
「おい」
了雅は波瑠多を見る。
「咲良をよろしく頼んだ」
「何言ってんだ」
了雅はぽかんと口を開ける。
「お前も『一緒』に守るんだろ」
「お前…それって」
「俺らと同盟組めばいいんじゃねえの」
波瑠多はそういうと滅多に他の暴走族には見せない笑顔を見せた。
「……ありゃやべえわ」
「咲良よくなんも思わないよね」
「え?私?」
黄竜のみんなが私の後ろに隠れてブツブツ言ってたのは分からなかったけど。
「行くかぁ」
隆琦の言葉で動き出す。
波瑠多は「後で連絡する」と了雅に言うと、私の手を引いて歩き出した。