嫌いの反対
「そう、だよね」
「俺は、母親に裏切られてる」
…それは、あの時教えてくれなかった波瑠多のお話。
「…女が乱れてるとこ見るとどうしていいかわかんねえ」
『女が乱れてるの久しぶりに見た』ガラスの花瓶を割った時、波瑠多があんなにも必死だったのは私とお母さんのことを重ねていたのだとわかった。
「そういうのも全部抱えていけばいいと思ってんだ」
「うん」
波瑠多は一度深呼吸をすると私に向き合った。