嫌いの反対
「っ、前、ここを使ってたから。」
「へえ」
「じゃ、じゃあ」
さよなら、そう続けようとしたけど無理だった。
いつの間にか壁に追いやられてて、
いつの間にか追い詰められていて、
いつの間にか顔が目の前にある。
何なのこの人。
「俺は野嶋波留多(のじま はるた)」
「は、はぁ」
「お前は?」
「名乗る必要あります?」
「はぁ、頑固なやつ、んじゃあ元姫さんって呼ぶぞ」
「喜んで自己紹介させていただきます。」