嫌いの反対
「おお、咲良あがったのか」
私に気づいたのはやっぱり波留多だった。
「うん、大丈夫なの?これ」
「いつものことだ」
それが心配なんですけど…
そう口走る事はなく波留多に手を引かれた。
「飯。ちゃんとしたの食ってねえんだろ?」
私は目を見開く。
どうしてこの人には分かってしまうんだろうか。
「あ、うん、ありがとう」
動揺を隠せず焦りながらそう返すと満足そうに微笑む。
不意に心が高鳴った。