絵本王子と年上の私
仕事や、自宅、それに誕生日も詳しく聞いてないのいなかった。母校だって、たまたま話に出たから白が教えてくれたのだ。
付き合いはじめてた事に浮かれて、白が優しいのに甘えて、白を全く知ろうとしてなかったことに気づいた。
しずくが問いかければ、彼は教えてくれたのだろうか?それも疑問だった。
仕事の話はするが、詳しくは教えてくれなかった。
自宅にも行ってみたかったが、1度やんわりと断られてからはなかなか言いにくい部分があったのも事実だった。
「話を聞く限り大丈夫だと思ってたけど。本当に大丈夫?」
「大丈夫だよ!白くんは、しっかりしてるし、タイミングが悪かったのかも。」
少し不安はあるものの、白の事が好きなことには変わりはない。少し何か問題があったとしても、ふたりで解決していけばいいし、白となら大丈夫だと思えるのだ。
「すっごい汚い部屋だったらー?」
「一緒に片付ける!」
「彼女と同棲してたらー?」
「、、、え?」
「もしかして、奥さんかも!」
「えええぇぇ!?」
容赦ない美冬の考えに、しずくは一気に不安になってしまった。
部屋に呼べないのは、やはり理由があるのだろうか。仕事場でもあると言われてしまうと、どうしても「行ってみたい!」と言えなかったりもするのだ。
白に限ってそんな美冬が言ったような事はない。そう言い切りたいし、そう思っている。
けれども、他の人はそんな事を考えてしまうのだと理解すると、やはり悲しくなってしまう。
「美冬さん、言い過ぎですよ。雨ちゃん、、。」
「光哉くん、どーしよー?」
「悔しいですけど、白くんはそんな男ではないですよ。俺と話した限りは、誠実だったし雨ちゃんをすっごく愛していたから。だから、雨ちゃんは心配しなくていいよ。」
「そうかなぁ。」
「本当に気になるなら聞いてみるといい。答えてくれるだろうからさ。」
光哉くんは、心配そうにそうアドバイスをしてくれる。そして、腕を伸ばしてきてやさしく頭を撫でてくれるのだ。
前はドキドキしたけど、今はとても安心する感触になっていた。
幼馴染みの言葉は、しずくの心にすとんと落ちていく。
「ありがとう。いつも助けてもらってばかりだね。」
「雨ちゃんの事、大好きだからね。もちろん、幼馴染みとして。今はそういっておくよ。」
「あ!ずるい!私も大好きだからね、しずく!もし白くんに苛められたら仇とってあげるから!」
拳で叩くようなポーズをとりながら、そう言ってくれる美冬。
こうやって、話を聞いてくれる友逹もいる。
そして、大好きで信じたい彼もいるのだ。
「ありがとう。白の事信じてるから大丈夫!でも、気になることは聞いてみるね!」
心配し、応援してくれるふたりに笑顔で宣言した。