星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
次の日の昼休みも俺は外回りで職員室に向かってみた。
はたして今日もそこに女生徒はいた。
女生徒はペットボトルのミルクティーを飲みながら、暑そうに肩に掛かった髪を後ろに掻き流す。
その横顔に俺の胸が跳ね上がる。
(南条…)
女生徒はやはり南条だった。
南条は俺に気付かずミルクティーを煽る。
一瞬声を掛けようか迷って、結局止めた。
それから毎日、俺は石垣の木陰に南条がいるのを確認するのが日課になった。
雨の日や、何か用事でもあって学校に来ていなかったりするのか、稀にいない日もあるもののほぼほぼ毎日南条は同じ時間、同じ場所でひとりで昼休みを過ごしていた。
毎日見ているうちに、どうやら南条はチョコパンとミルクティーがお気に入りらしいことまで分かっていた。
それでも俺は南条に話し掛けることはなかった。
君のその細い腕に守られたいと思う弱い俺を知ったら君はどう思うだろう?─
そう思うと、怖くて必要以上に関わることに躊躇してしまっていた。