星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」

「ねぇ!どこまで付いてくるの!」

 塾を出て、駅までの道を足早に歩く。


 私の隣には、清瀬くん。


「だから帰んだって。同小だって言ったろ?俺んち、お前んちと同じ方だから」

「友達とマック行くんじゃないの!?」

「別に。いつもの馬鹿話だから。行かなくても変わんねーし。
 ていうか、そんな怒んなよ。幼馴染みとの久々の再会を喜べねーの?」

「あなたと幼馴染みなんかじゃありません!」

「つれねーな。マジで覚えてねぇの?」

「覚えてません!」

「小1とかそんくらいん時お前男苦手だったろ?んで最初に友達になってやったの俺なんだけど?」


 確かに小さい頃私は男の子が苦手だったけど、最初の男の子の友達が清瀬くんかどうかは覚えていない。

 無意識のうちにどんどん足が早まって行く。


「舞奈、待てよ」


 清瀬くんが私の肩を掴み、反射的に足が止まる。

 私は清瀬くんの眼を見てきっぱり言った。


「覚えてません。ごめんなさい」


 でも清瀬くんも退くことなく、負けじと私の顔を覗き込み畳み掛ける。


「お前、俺のこと振ったんだけど、それも?」


「えっ!?」


「6年の時。お前俺のこと、そりゃあ手酷く振ったんだけど、覚えてねーの?」


 清瀬くんを振った…?

 そんなことがあれば流石に覚えているはず…


「そんなこと…なかったけど」

「あった」

「人違いじゃない?」

「んなわけねぇだろ。

 初恋の人を間違える馬鹿がどこの世界にいんの?」

「……」


 初恋の人─

 清瀬くんの言葉についどきりとする。
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