星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
「その代替えが『妹』ってことね」
そう。妹という名目ならやましいことなくこれからもずっと傍にいられるから…
「まぁね、大切な同志が折角就職したのに一年足らずでクビになっちゃ困るしね。そういう風に自分を誤魔化すのもアリかもしれないわねぇ」
自分から誰かを好きになったこと、誰かを欲しいと思ったことはただの一度もなかった。
まして、こんなにも狂おしいほど。
自分の、自分だけのものにしてしまいたい。
誰にも渡したくない。
出来ることなら宝石箱に入れて鍵を掛け、俺だけの場所にしまっておきたい。
そんな欲望さえ過ることがある。
もちろん純真な彼女にそんなこと出来るわけもないけど。
「あなた達、教師と生徒として出逢わなければ良かったのにね。そしたら昴も舞奈ちゃんも倖せだったのに」
「……
いや…そんなことないよ」
「なんで?」
「南条は俺のことなんて、教師としてしか見えてないから」
「……」
夜璃子は少し首を傾げて俺を見遣り、
「…ふぅん」
と何か困ったように薄く笑った。