星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 俯いていると周りの子たちが話しかけてくる。

「舞奈ちゃんどう?ユウト、良い男だろ?」

「こんなイケメンに告られたらそりゃ好きになっちゃうよねぇ」

「えっと、あの…」

 ノリにたじたじしてしまう。


「ユウトはモテるけど、でも自分の方から告った子、多分舞奈ちゃんが初めてだよ」

「え…」

「あー私もユウトの好きな子って聞いたことなーい」

「確かに。いつも告られた子と『お試し』とか言って付き合ったりしてるけど、本気で付き合ってるってのは聞いたことないな」


(そうなの…?)

 清瀬くんって、女の子慣れしてるというか、どちらかと言うとチャラい印象なんだけど…


(誰でもいい、ってわけじゃ…ないのかな)


 隣の清瀬くんをちらっと見ると、

「うっせーな。余計なこと言うな」

と彼らに向かって頬を少し赤らめて言う。


(!?)


 こんな顔するの、初めて見た…

 ちょっとだけドキッとさせられてしまう。


「とは言えユウトはお試し彼女を切らしたことないからねー。多分手が早いから舞奈ちゃん、気を付けた方がいいよー」

「え…」

 みんながケラケラと笑う。


「また余計なこと言いやがって」

「あはは。ま、気を付けなくてもいんじゃない?舞奈ちゃんもユウトとなら全然OKでしょ?」

「え…あの…」

「付き合って2日?3日?もうキスくらいしてるよねー、ユウトなら」


(えぇーっ!)


 会話に付いていけなくなっておどおどしていると、


「ご名答」


と清瀬くんは言うなり私の肩に腕を回して引き寄せた。

 私の顔に清瀬くんが顔を寄せる。


(ちょっ…!えぇっ!!)


 みんながどよめく中、抵抗する間もなく清瀬くんの唇が数ミリまで迫る。


 身を固くする。

(ど、どうしよう!)
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