星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 清瀬くんはゲーセンに着くと、

「舞奈に出来そうなのあっかな?」

と騒がしい店内を慣れた感じで奥に進んで行く。

 そして途中にある一台の可愛らしい筐体を指した。


「これなら出来っしょ?」

「あ!うん」

時々やってるスマホのパズルゲームのアーケード版だ。

「わぁ!キャラが大きい!可愛い!!」


 私が眼を輝かせると清瀬くんは筐体にお金を入れる。
 それから隣の椅子に座り、私がプレイするのを見ててくれた。


「舞奈意外と上手いのな」

「これはスマホでやったことあるから」

「リズムゲームとかは?」

「音楽に合わせてステップ踏むやつ?それは無理だよー」

「いや、ステップじゃなくてボタン押すだけのやつもあるし。来てみ?」


 今度はリズムゲームのコーナーに連れて行かれる。


「これなら舞奈の知ってる曲もあると思う」

「ホント?…
 あ、この曲好き」

「じゃやってみ?」

「うん」


 私がお金を入れると音楽が流れ出す。
 スマホの着信音にしているお気に入りの曲。

 私はリズムに合わせてボタンをぽんぽん押す。

 清瀬くんは相変わらず隣で私を見ている。


 画面じゃなくて、『私』を。


「あんまり見られると緊張するよ」

「うん。緊張させてんの。俺にドキドキしちゃってよ」

「えー!もうっ!」

 清瀬くんは楽しそうに笑う。


 ゲームが終わると清瀬くんが

「舞奈リズム感あるね」

と誉めてくれた。


「清瀬くんはやらないの?」

「俺?言ってんじゃん。俺音楽ダメなんだよ」

「そう?」

「試しに勝負してみる?」


 清瀬くんがやおら提案する。


「勝負?」

「リズムゲーで俺が勝ったらキスしよう?」

「えぇっ!無理無理無理!」

「そんな全力否定すんな。普通に傷付くわ。
 大丈夫。俺苦手だって言ってんじゃん」

「でも…もしもってこともあるもん…」


 すると清瀬くんは私の頬をつつく。

「ここなら?」

「えー…」

「わがままだなぁ」

「どっちが!」


 今度は私の前髪を掬い上げ、おでこの真ん中に指先を当てる。


「ここは?」

「…うぅ。分かった」


ここは負けられない!
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