星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 かぁっと頬が熱くなるのを感じて、手袋の両手で頬を押さえる。
 胸がドキドキし過ぎて息も出来ない…


 すると、先生がふとこちらを仰ぎ見て、ばっちり眼が合った。


(!!)


 先生も一瞬驚いた表情をして、それからにっこりと、いつもの目映いばかりの微笑みを向けた。


(ひゃぁ…!)

 酸欠で目眩がする…


 くらくらする頭で先生を見つめていると、先生はもう一度中学生に向き直る。

「質問が済んだなら帰りなさい」

「言われなくても帰るもーん」

「あーもー超ショック!」

「バイバイせんせー」

 覇気のなくなった中学生達が正門にぞろぞろと向かって行った。


「気を付けて帰れよ」

 中学生を見送った後、先生は再びこちらを振り仰ぐ。


 先生の綺麗な顔に冬の陽射しがきらきらと零れ落ち、いつにも増して格好良く見える。

 その笑顔で先生はこちらに敬礼して見せた。


(!!)


 激しい鼓動と目眩を感じて、私は慌てて窓から顔を引っ込めた。


(先生…格好良過ぎだよ…)


 あんなにあんなに好きで、片想いしていた先生と今、心を通わせている。

 その事実に胸が痛いほどにきゅんとする。


(先生…好き…)


 恋ってこんなに幸せなものなんだ、ということを初めて知った。


 高校生最後の冬。

 貴方と過ごす日々が暖かで輝くものでありますように─


 そしていざ!入試まであと2ヶ月─


       *   *   *
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