星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
12月~幼馴染み
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Date: 201x 12/xx 15:55
From: Subaru Hatsuhara
〈xxx_pleiadesxx1212@……〉
Sub:(non title)
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今から塾?
一緒に行こうか?
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午前中で試験が終わって自宅に戻っていた私に先生からメールが届いたのは、夕方塾に行く準備をしていた時だった。
『一緒に行こうか?』─
先生が何を言いたいか、分かってる。
清瀬くんのことだ。
先生は自分の想いの為に清瀬くんを傷付けてしまったと思っている。
そして、同時に私をも傷付けてしまったと思っている。
『彼のことも、それから南条のことも、辛い思いをさせてしまうことになって本当に申し訳ないと思ってる』
今までは他人が自分のものを欲しいと言えば大概どんなものでも分けてあげようと思ってきた、と先生は言った。
先生は更に続ける。
『だけど…
南条のことだけは、誰かに譲ることは出来ない。
お前を誰にも渡せない。どうしても』
先生は真剣な眼でそう言って、それから、
「ごめんね、我が儘で」
と、どこか辛そうに微笑んだ。
それが昨晩のこと─
普通なら自分の恋を手に入れたら、きっと嬉しくて嬉しくて、それだけでいっぱいだと思う。
現に私はそうで。
でも先生はそれだけで終わらなくて、私のことを心配して、更に本当なら恋敵なはずの清瀬くんのことまで心配して。
(優し過ぎて、先生の方が心配だよ…)
私は
『一人で大丈夫だよ!』
とメールを返して家を出た。
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