星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 帰りの高速は今日のことや学校のこと、勉強のこととかを先生と喋りながら帰途に着いた。

 でも、もうこの幸せな時間が終わってしまうことにどこか淋しくなる。

『デートの帰り道は少し切ない』なんてことは歌の歌詞か何かで知ってはいたけど、こんな感じなんだなぁ、とぼんやり思った。


 窓の外は12月の雨が肌寒く降り頻り、それがますます切なさを煽る。

 私は膝の上に置いた白いマフラーを手に取り、肩から掛けた。



 間もなく自宅最寄りの駅に着く頃、先生が尋ねる。

「駅でお兄さんと待ち合わせてるの?」

「うん。だから駅で降ろしてくれれば良いよ」

「分かった。駅のロータリー、長く停められないからお兄さんが直ぐ来れるか聞いてみてよ」

「うん」


 先生に言われてメッセージアプリの画面を開くと、1件メッセージが届いていた。


『ごめん舞奈。
 今から碧ちゃんに会ってくる。』


(えぇっ!?)


 メッセージの時間は30分前。


「先生、お兄ちゃんまだ来れないみたい」

「そっか、まだ少し早いしな。
 じゃ公園のとこに停めて時間潰そうか?」

「うん、ありがとう」


 先生は行きに待ち合わせした公園の入口辺りに車を停めてくれた。
 私は兄にその旨と、駅に着く時間が分かったら連絡して欲しいと送った。
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