星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 この日が来るのをずっと夢見てた。

 そして、毎日を懸命に進んでいけばいつかこの日に辿り着くって、そう思ってずっと走ってきた。


 なのにいざその時が来たら、胸を打ち鳴らす激しいときめきに震えて、言葉も出ない。


(先生…)


 瞳も頬も身体中も熱い。



(ずっと貴方が…好きでした)



 先生がくすっと笑ってこちらに手を伸ばす。
 指先が目元に触れ、私は自分が泣いていることに気付いた。その指先が優しく涙を掬い取る。


「答えは?」

 先生が少し背を屈めて私を覗き込む。


「…はい」


 それ以外の答えなんてあるわけない。

 どんなにかどんなにか待ってた。
 全てが解き放たれて、まるで光に満ちた外へ駆け出し胸いっぱいに深呼吸するように、何の拘束もなく束縛もなく自由に貴方を愛せる時を。


 好きです。
 貴方が好きです。

 誰が見ていようと、誰が聞いていようと、胸を張って世界に叫びたい。

 溢れる想いを─


(先生…好き…)

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