星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
「えと…この文、いくつかの文から出来てる文だとは思うんですけど…」
恐る恐る口を開くと岩瀬が小さく溜め息を吐いた。
(やっぱりこの人は苦手だー…)
岩瀬は問題集に眼を落としたまま、やはり淡々と、且つ分かりにくい説明をする。
正直全然分からないけれど、聞き返すのも面倒くさいので、ただ
「はい…はい…」
と答えておく。
一通り説明したらしいところで岩瀬が初めて顔を上げ、
「分かりましたか?」
と私に訊いた。
「あ、はい…」
と答える。
全然分からないけれど…
とりあえずこれで岩瀬からは離れられるけれど、ここにもう用はないことになる。
(先生と話したかったけど、無理だなぁ…)
私は岩瀬に
「ありがとうございました」
と頭を下げ、ドアの方を向きかけた。
すると岩瀬が
「では私は職員室に戻りますので、貴女、一緒に行きましょう」
と席を立つ。
(うゎ、途中まで岩瀬と一緒…)
今日はついてない。