星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
10月~手紙
 翌々日の模試は本当に惨憺たるもので…


 先生と夜璃子さんのことが気になって集中出来なかったのもさることながら、国大を落ちてもいいと見くびってきたツケも回ってきたようで、いざ受かりたいとなったらいつもの半分も出来なかった。


「はぁ…」

 寝不足の月曜日。

 1時間目終了後の休み時間、私は溜め息を吐いて机に突っ伏す。


 考えたってしょうがない。

 先生にとっては私は生徒─

 それは私が夜璃子さんに会う前も、会ってからも変わらない事実。

 私から見た先生が変わってしまっただけで、先生にしてみれば何も変わってない。


 ううん。

 私から見たって、ただ先生を好きでいたかっただけ、先生の傍にいたかっただけで、それは生徒としてでよかったはずだ。
 恋人になりたいとか、そんな大それたこと思っていたはずじゃない。


 なのに。


 なのに何でこんなに悲しい気持ちになるんだろう─


「はぁ…」

 もう一度溜め息を吐き、眼を瞑る。


 すると、

「なんでなんで!?」

「え、何しに来たの!?」

 やにわに教室の中が騒がしくなる。


(なんだろう?…)


 眼を瞑ったままぼんやり思っていると、

「南条さんいるー?」

とクラスメイトの声がした。


「私…」


 顔を上げて立ち上がるその時。


(え…)


 私は教室の前側のドアに思いがけない人を見た。
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