キミになりたい。
嬉しかった。

とても。

「わかった、私、頑張るね」

「約束だぞ」

「うん!」

正直、2度も負けてマラソン大会は諦めてたけど、なんだかやる気が湧いてきた。

知らぬ間に私の家に着いていた。

「じゃあな、また明日」

「またね、バイバイ」

私は河野が見えなくなるまで手を振って、鍵を開けて中に入った。

しーんと静まったリビング。

いつも学校から帰ると、こうやって孤独感でいっぱいになる。

もう慣れた。

両親は医者。

みんなには羨ましがられるけど、私にとって最悪な肩書きだ。

テストで1位を取っても、医者の子供だから「当たり前」。

いつも家に親がいないのも、医者の子供だから「仕方ない」。

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