キミになりたい。
誰も私を本当の意味で褒めてくれなかった。

誰も私も可哀想、と言ってくれなかった。

唯一河野は、心の底から私を認めてくれて、好きでいてくれているって思えるんだ。

私もそんな河野が好きで、尊敬している。

いつも素直で、自分らしくて、人のいい所をちゃんと見つけられて、みんなに好かれている河野が。

「走らなきゃ」

今年は受験勉強もあってあまり練習出来てなかった

まだ明るいうちに走って、誰かに会うのは嫌だけど、今しか時間が無い。

裏道を1周だけしよう。

私はジャージに着替えてイヤホンをセットした。

コンクールで吹いた曲が流れ始める。

ドアを開けて走り始めた。
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