向日葵だけが知っている

「やってくれるよね？」
先生はまた、いつもの顔をして、やってくれオーラーを出す。
「…はい。」

本当は断りたい。けど、私にそんな勇気はなかった。

キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって六時間目が始まった。
「起立、気をつけ、お願いします！」
「お願いします！」

「はい。今日は運動会の係を決めます。係は全員しなくてはならないわけではないですが、できればやってほしいです。」
先生が黒板に係の名前を書いていく。
児童係、演技係、応援団、放送係、保健係、…
でもそこには例年あるはずの挨拶係がなかった。
「先生！挨拶係がないですよ。」
生徒が言う。
「…あっ、挨拶係は辻井さんにやってもらうから書かなかったの。」

その瞬間、クラスはシーンとなった。