向日葵だけが知っている

「私は挨拶係をやりたくないから…だから…」
「ふざけないでよ。」
私の言葉をさえぎったのは前田さんだった。
前田さんは言葉を続けた。


「同情なんていらない…。どうせさっきまで自分がやるつもりだったくせに…。自分が非難されたくないから私に譲ったんでしょ？同情なんていらない。ふざけないでよ！」

私はその場に立ち尽くしていた。
そんなことおもってないよ！そんなこと言える勇気はなかった。

「何で、辻井さんみたいな人がひいきされるの？辻井さんがすごいんじゃなくて、お姉ちゃんがすごいだけでしょ？辻井さんは何もしてないくせに。」

前田さんは言い終わるとパッと駆け出した。前田さんの目には涙が溢れていた。

「前田ちゃん、待って！」
残りの女子は前田さんについていき、私の前にはリーダー格の女子だけが残った。