向日葵だけが知っている

「本日は、劇団春花においでくださいまして誠にありがとうございます。…」

「…光希先輩は何役なの？…」
こそっと美千留が聞いてきた。
「ええっと…」

パンフレットを開く、光希先輩は…　
「ドナルド紳士の娘エレン役だって」

「…OK。」

そう、私と美千留は今、光希先輩が所属している劇団春花の公演を見に来ているのだ。

それは、一週間前のことだ…
…………
「ひまりちゃん。来週の土曜日って予定なし？」

光希先輩が声をかけた。
「はい。ないですけど…？」

「よかったら、見に来てよ！」

そう言って、先輩は二枚のチケットを渡した。
「私が入ってる劇団春花の公演。」

そして、声をひそめて言った。
「二枚あるから朝飛と行ったら？」