ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!

男子side






☆☆☆☆☆☆☆広瀬柊晴side☆☆☆☆☆☆

観月さんに、見送られて校門へ向かう。
夕暮れの空に、校舎から聞こえる吹奏楽の音色が響いていた。


道に並んだ、雪代と俺の影を見つめながら、無言で歩く。

「あ…。」

雪代の声に、顔をあげると校門のところに金髪のイケメンが立っていた。

見たことある…。確か3年…。

向こうもこっちに気づいたのか、
いじっていたスマホからこっちに視線も向けてきた。

そして、

「君ら2年のサッカー部だよね?リンちゃんまだいる?」

「リンちゃん?」

キョトンとして雪代が聞き返す。

「あー。ごめんごめん。わかんなかった?観月花凛ね!」

なんだ、この男…。観月先輩に対して馴れ馴れしい過ぎないか?

「観月先輩ですか?」
答えようとする、雪代を制して

「教えられないですね。校門で待ち伏せとかストーカーですか?」

つい嫌な言い方をしてしまう。

金髪の男は面白いものを見るかのように、にっこり笑い俺に近づいてくる。

俺より、高い身長が気に入らない。

「君、2年でめちゃくちゃ女の子達から人気のある広瀬くんだよね?
リンちゃんからも、話はよく聞いてるよ。なに?リンちゃんの事好きなの?」

からかうように、聞いてくる。

俺は、観月さんからこいつの事なんて聞いたことない。
なんで、俺の事だけ勝手にこいつに話してんだよ…。

「あんたに答える義理はないです。雪代帰るぞ」

金髪の男を避けるように、俺は先を急いぐ。

後ろから、追いかけてきた雪代が横に並んだ。

「驚いたね。あの人3年の影宮郁斗先輩だよ。」

「そうか。興味ない。」


冷たく答える俺に、雪代はなぜかやれやれというように、笑った。

「柊晴、また怖い顔になってる。
あの人観月先輩の幼なじみらしいし、付き合ってるとかじゃないと思うよ。」

「だから、興味ないって言ってるだろ」

と、軽く雪代をあしらった。


町の雑踏に混じって、小さく

「ほんとは気になってるくせに」なんて、

雪代が呟いたのは、聞こえないふりをした。



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