ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!
試合のあとで
次の日、学校に着くと
ほとんどの部員が早めに来て各自グラウンドでアップしていた。
今日の、対戦相手はうちの学校とフォーメンション的に相性が悪い。
昨年、インターハイ準々決勝で戦い、0対0だったが残り3分という奇跡的な
タイミングで時雨がシュートを決めて、うちの学校が勝ち上がった。
向こうも、昨年の反省を踏まえて今年のインターハイに備えて
今日は、本気で来るはずだそれに、
お互いに今年のインターハイに向けて相手のプレーを研究するつもりでいる。
今日は、いつもよりさらに暑くなりそうだ!
「集合!」
時雨の声で、散らばっていた部員達が集まる。
監督の先生から一通り、説明があったあと
時雨が部員達に気合いをいれる。
「最高のプレーをしろ!以上だ。」
「「「はい!」」」
返事をして出場する選手達が、ピッチの中央に並び対戦校と挨拶をしてから
キックオフだ。
ピッチを駆ける選手の姿はいつ見てもかっこいいんだけど…。
「キャー!!神宮司くんカッコいい」
「雪代くんがんばれー!」
「広瀬くん♡」
とグラウンドのフェンス越しに女の子達の黄色い歓声が響きわたる。
はぁ…。
いつもの練習は、
練習の邪魔だからと女の子達の見学は一切時雨が、禁止している。
だが、練習試合や本番の試合では相手に圧力がかけられてちょうどいいと
許可している。
そのため、練習試合のときはうちのイケメンメンバーの姿を見に、
夏休みだというのにたくさんの女の子が来ていた。
よくやるよな…。
試合は、開始から15分たったがいまだに、0対0。
ゴール前までパスが回るが、相手の守りが固くて一点も入らない。
涼香は、大きな声で激を飛ばしている。
前半戦が終わり、ハーフタイムに入る。
何人か選手の入れ換えがあり、後半戦の戦略について時雨が話した。
そのあと急いで、ドリンクをあたしと涼香が配るのだが…。
「時雨!お疲れ!はいこれ」
「助かる」
時雨にドリンクを渡すと、見ていた女子がざわざわする。
「あの女また媚び売ってる…」
「神宮司くんを呼び捨てにするなんて馴れ馴れしすぎ。」
ヒソヒソと言っているのだろうが、自分に対する悪口は嫌でも耳に入ってくる。
しばらくして、後半戦が始まり
ついに、雪代くんが動き出した。
高身長を生かしたヘディングで、
ボールを奪うと、華麗にピッチを駆ける。
そして、すぐに広瀬にパスを回す。
広瀬は、そのまま一直線にドリブルでゴールへと行くが、
相手のディフェンダーが、邪魔をする。
「部長!」
広瀬が、時雨にパスを回し
時雨が、ニヤリと笑うとまるで獲物を狙うみたいに
きれいな目が鋭く光る。そして、思いっきりボールを蹴りあげた。
相手のキーパーがボールへ飛び付くが届かず、
綺麗にゴールが決まった。
ギャラリーが歓声をあげる。
そのまま後半戦が終わり、1対0という形で練習試合は終わった。