ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!
祭りの夜は
約束の場所に着くとすでに、雪代くんと広瀬がいた。
うわっ
意外なことに、男子二人も浴衣。
雪代くんは、グレー地に白い縦の細いラインが入っていて白い帯。
広瀬は黒一色の浴衣に紺の帯。
イケメンでスタイルのいい二人が並んでいると雑誌の一部みたいだ。
二人も、こっちに気がつくと少し驚いた顔をする。
「先輩!」
雪代が予想通り、キラキラした顔で駆け寄ってきた。
それに対して、涼香は嫌そうな顔であたしの後ろに引っ込む。
「浴衣着てくると思わなかったです」
「あたしが、涼香に無理やり着せたの!どう?涼香似合ってるでしょ?」
あたしが、ニヤリと笑い、涼香を前に突き出す。
「あんま、見んな!なんか恥ずかしいだろ!」
と、下唇を噛む涼香に雪代くんは
「本当に似合ってますよ。とっても素敵です。」
と、本当に王子様のように微笑まれて、珍しく涼香が赤くなっていた。
「ほら私のことはいいから、行くよ!」
逃げるよう早足で歩き出すと、すぐにつまずき。
「下駄ってやっぱり歩きづらいな!」
と、むくれる。すると、雪代くんが
「良かったら掴まってください」
と、左手を涼香に差し出した。
涼香は、「気が利くじゃん!」となんの躊躇もなく手をとり
二人は並んであるきだす。
前を歩く二人を見つめながら
手を繋いで歩くとか、周りから見たら完全にカップルじゃん!
あれで付き合ってないとか…。と、呆れる。
「観月さん俺たちも、手繋ぎますか?」
と、隣にいた広瀬が呟き、は!?と思わず振り替える。
「なんで、あんたと手を繋ぐのよ!」
「観月さん羨ましそうに二人を見てたから」
と、からかうように言われる。
「違うし!見てないし!」
と、否定すると
広瀬は、流し目でこっちを見て
「浴衣の袖くらいなら掴んでてもいいですよ。
観月さん手を繋ぐ相手いなくてかわいそうですし」
「かわいそうじゃないし!あんたも彼女いないでしょ!」
と、睨む。
そんなあたしを見て、
「そんなにムキにならないでくださいよ。冗談です。
人混みだし、観月さんチビだから迷子になりますよ。
それに…。」
なぜか、言い淀む。
「それに?」
あたしが、聞き返すと
「今日の観月さんはいつもよりか、少しだけ。
ほんの少しですけど、かわいげがある感じなんで…。
また変な男にまた声かけられちゃいますよ」
と、小声で言い目線をそらした。
「しょうがないな!そんなに言うなら掴んでてあげる!
なになに?今日のあたしそんなにかわいい?え、かわいいと思ったんでしょ?
素直じゃないなぁー。あんたも、なかなか浴衣似合ってんじゃん!」
あたしは、ニヤニヤしながら広瀬の袖を掴むとぐいぐい引っ張りながら、
からかう。
だけど、すぐにいつもの仏頂面に戻った広瀬は
「はいはい。観月さん鬱陶しいですよ。」
と、軽くかわされた。