ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!

あたしは、銃を置いた広瀬を押し退けるようにしながら、
銃を持ち。


「うるさい!教えてもらわなくっても出来るから!」

と、残りの2回ぶんを連続で狙いを定め撃った。

…。


もちろん、2発とも外れ、

それをやれやれ、といった表情で見つめる広瀬にムカついて、
黙って頬を膨らませむくれる。



パン パン パン


小気味よい音が隣から聞こえ、首を横に向けると

涼香が、5発全てを命中させていた。

「涼香凄すぎ!」

「まーね」

涼香は、銃を片手にどや顔をこっちに向けながら、
おじさんから商品を受けとる。

お菓子の箱や小さいマスコットを腕一杯にしながら、
雪代くんに近づくと、

「はいこれ。」

腕の中にある、小さな白い犬のキーホルダーをつまみ上げ、
雪代くんに差し出す。

「え?」

と、少し戸惑った顔で涼香を見つめる雪代くんに

「今日誘ってくれたお礼。この犬かわいくない?ちょっとお前に似てるし」

そう言って、涼香はニッコリ笑う。

確かに、白い犬は少し困り眉の目のクリッとした愛嬌のあるかわいらしい
デザインだった。

「嬉しいです。大切にします」


はにかんで笑う、雪代くんきらきらして見えて、
なんだか、好きな人がいるっていいな…なんて思ってしまう。


無意識に、ちらりと広瀬のほうを見ると
バッチリ目があってしまう。

うわっ

どうしよー。

「なに見てるんですか」

「は?あんたなんて、見てないし!うぬぼれんな。
あと、キャラメルは私のだからね。あげないからね。」

おじさんから受け取った、景品のキャラメル箱を広瀬に
見せびらかしながら言うと

心底うんざりした顔で

「はいはい。取ったりしませんよ。」

「年上に向かって、子供扱いしないでよね!」

私がまた、また頬を膨らませると

膨らませた頬を、涼香がツンツンとして

「あんたら、いつまで喧嘩してんの?行くよー」

と、声をかけられしかたなく射的屋を離れた。
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