ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!
しばらく、屋台を見て回る。
このお祭りは地域の最大イベントということもあって時間がたつに連れて
どんどん、人が増えてくる。
あたし達は、比較的空いていた、かき氷屋に並び注文すると
少し屋台から離れた、ベンチに左から涼香、雪代くん、あたし、広瀬の順で
並んで腰掛ける。
あたしは、少し先に見える屋台の賑わいと明かりを眺めながら
いちごのかき氷を食べる。
暑いときのかき氷ってサイコー!
ふと、隣に座る広瀬を見る。
広瀬は、長いまつ毛を伏せてブルーハワイの真っ青なかき氷食べていた。
ほんと広瀬ってまつ毛長いし、髪はサラサラだし、
黙ってたら涼し気なイケメンだな。
まー、黙ってたらだけど…。
チラリとこっちを見た広瀬と目が合う。
「そんな、ジロジロ見られると食べづらいんですけど…。」
「別に見てないし!
そんな青いの食べてたら舌青いだろうなとか思って見てただけだし!」
「やっぱ、見てたんじゃないですか。」
と、ぼそっと呟かれ黙ってしまう。
「それに、観月さんだって真っ赤になってるでしょ」
「まー、そうだけど」
すると、涼香が無邪気に
「じゃあ今あんたらがキスしたら舌が紫になるな!」
と、笑った。
「は!?」
と、涼香を睨むあたしに広瀬は
ニヤリと意地悪そうな顔で笑いながら
「試してみます?」
なんて言い出す。
こいつとキスなんてお金もらったってお断りだ。
「するわけ無いでしょ!バカバーカ」
隣の広瀬をバシッと叩きながら言うと
「冗談に決まってるでしょ。本当、観月さんはすぐ熱くなる」
と、小馬鹿にするように鼻で笑われまた腹が立つ。
あたしは、広瀬の発言を無視してかき氷をガツガツ食べる。
不機嫌になったあたしを見て、
雪代くんは困ったようにオロオロしはじめ、
「あの、俺と広瀬で屋台でいろいろ買ってきますんで待っててください」
と、半分強引にまだかき氷を食べ終わってない広瀬を引っ張りながら、
屋台の明かりへと消えていく、広瀬がこっちを振り返り、
流し目で舌を少し出してほくそ笑んだ。
それにムカついたから、あたしもあっかんべーと、右目を左指で引っ張りながら
舌を出してやった。
なのに、広瀬はそんなあたしを見て、なぜか軽く微笑むと雪代くんの
背中を追って歩いていってしまった。