ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!
待ち合わせの場所に行ってみると、すでに広瀬は立っていた。
黒のスキニーパンツに白の無地のシャツその上から、紺の開襟シャツを羽織っていた。遠くから見ると整った顔立ちのせいかメンズモデルのようだ。
シンプルな服装だが、ネックレスとかを着けないところが神経質そうな広瀬ぽい。
それに、この暑いなか街中に立って待ってるというのに、なぜかとても涼しげだ。
広瀬は、こっちに気がつくといつまで待たせるんですかと言いたげな、冷たい視線を送ってくる。
慌てて、駆け寄ると
「観月さん今何時ですか。」
「2時8分。」
あたしは、スマホの時計を確認しながら答えると
「集合時間は?」
「2時です…。ごめんって!」
「観月さん5分前集合とかいう言葉知らないんですか?」
「たかが、5分程度の遅刻でケチケチカリカリしないの!ほら行くよ。」
と、歩き出す。横に並ぶ広瀬に
「てかね、女の子は準備に時間がかかるんです。」
「遅刻した方が逆ギレしてんですか。」
「だって、今日は広瀬のせいでもあるから!服とかいろいろ考えて…。」
と、言いかけて慌てて口を閉じる。チラリと広瀬は面白そうに口角を少し上げて
「俺のせいでもあるんだ?服なんだか観月さんぽくないですもんね。」
と、意地悪く言う。
「違うから!あんた派手な服嫌がりそうだし。たまには気分転換だから!」
と、広瀬の背中をバシバシ叩く。広瀬は、痛いですってと言いながら真顔になると、
「俺は、前にも言ったけど観月さんが好きな服着ればいいと思いますよ。俺、観月さんが露出狂なの知ってますし。」
と、言う。
「誰が露出狂よ!」
広瀬は、左手を口もとに持っていくと
「まー、でも今日みたいな服も似合ってんじゃないですか?」
と、呟くように言う。
なんだか、急に褒められて恥ずかしくなってしまって、ちょっとうつむきがちに、
「ありがと」
と、告げる。
なんだか、照れ臭い空気を戻すかのように
広瀬は
「でも、遅刻はほんとダメですから。こっちは暑いんですよ。」
と、また小言を言い出します。アンタはあたしのお母さんかよ!
「ハイハイ、今度から気を付けますから。とりあえず百貨店に紙皿とか買いに行こ」