ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!
買った荷物を無理やり全て広瀬に持たせながら、店を出ると、目の前の広場のベンチが少し騒がしかった。
どうしたんだろう…。
近くへ寄ってみると、色素の薄いミルクティー色のふんわりとした巻き髪の女の子がベンチにうつ向いて座っていた。
その子を取り囲むように、四人のいかにもチャラついた男の人達が大声をあげている。
「なぁ、一人なんだろ。一緒に遊ぼーぜ」
「友達待ってんの?なら、その友達も一緒でいいからさ。」
誰がどう見ても、ナンパだ。今どきこんなベタなナンパなんてあるの!?
女の子は、困ったように下を向いたまま嫌がるようにフルフルと首を振った。
「てか、キミの制服さ、有名な私立の超お嬢様な学校じゃん!金持ってんの?」
確かに、うつむく女の子の服は白いワンピースに黒いリボンと襟、そして黒に金の金具のベルトの特徴的な、頭がよくてお金持ちしか入れないお嬢様高校の制服だった。
男達はにやけた顔で女の子の肩に手を乗せる。
あきらかに女の子困ってるじゃん…。
周りを見渡しても、見て見ぬふりする人たちばかりで誰も女の子を助けようとしてない。
「広瀬。行ってあげた方がいんじゃない?」
あたしは、広瀬の袖をつかんで言ってみる。
広瀬は、頷いて女の子に近づこうとしたそのときだった…。
女の子は肩に乗せられた手を、右手でしっかりと掴んだかと思うと、ねじりあげそして、そのまま勢いよく振り下ろすように背負い投げた。
え…。
投げられた男は、しばらく地面に這いつくばるようにしながら、「いてっー」と腰をを擦る。
女の子は、その男を見下ろしながらにっこり微笑んだかと思うと
「汚い手で軽々しく触らないでくださいね。」
と、言い放った。
男は、女の子を睨み付けると、起き上がりすぐに女の子に向かって右手を振り上げた。
ヤバイ…。
そう思った時だった。広瀬が間に割って入り男の手を手を止めた。
「公共の場で騒ぐんなら、警察呼びますよ。」
と、いつもの冷めた目で男達に言うと、決まり悪そうに去っていった。