先生はめんどくさがり。
私の腕を掴んだ啓太。
それに言い返そうとした私。
そして、最後に聞こえた声。
私の、大好きな優しい声。
「先生…」
「今日だけ俺に譲ってよ」
そう言って、階段を降りてくる先生。
「譲ってって…別に俺のものじゃねーし」
「へぇ。ならお前はこいつの何?」
冷たい目に、冷たい口調。
…先生が猫被ってない。
「…それが本性かよ」
「答えろよ」
「…幼馴染み…だけど」
「幼馴染みねー…便利な言葉だよな。そう言っとけばそばに居られるんだから」
最初に見た、私をめんどくさそうに見る先生。
懐かしい。
あの頃は、ただ先生を追いかけていただけだったから。
「ならあんたは?教師のくせに生徒で遊んで、やってること最低だろ」
「遊びじゃねえよ」