先生はめんどくさがり。


優しく名前を呼ぶと、私がずっと欲しかった言葉が贈られた。





「好きだよ。離したくない」





もう何度目かわからない。


また時が止まった。



泣くつもりじゃなかったのに、涙は私の頬を伝う。


嬉しくて…嬉しくて。





「すぐ泣く」


「だって…せんせ…が……」


「はいはい」





って。


めんどくさそうにしながら、頭撫でてくれる。



ずるいんだよ。


そういう不意に見せる優しさが。



ますます好きになっちゃうの。





「先生…大好きです…っ」


「ん」


「本当に…本当に本当に大好き……」





私はそう言って先生をギュッと抱きしめた。



叶うはずのない恋が、今叶った。


私も、幸せになることができた。

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