先生はめんどくさがり。
「足りない?」
「なに楽しんでんの!」
「ほら行くぞ」
意地悪く笑った先生は、私のシートベルトも外して車から降りた。
さっきまで重かった足は、先生のおかげで何だか軽くなった気もする。
レストランの中に入ると、奥の方にマナミさんがいた。
その隣と前には、マナミの両親と先生の両親。
「恋ちゃん?」
マナミさんは、私に気づくといち早く反応した。
「譲、誰だその子は」
テーブルまで行くと、よく見える全員の顔。
先生のお父さんは貫禄があって、厳格そうなお父さんだった。
「突然ですが、みなさんにお話があります」
そう言うと、先生は私の手をギュッと握った。